共働学舎「構想」5

②《共働学舎はどこで何をするのか》 

農村の自然の中で、農業と工芸を主体とする生産的勤労生活をします。

私たち誰もが、自分自身で生きる可能性を学びとり、体全体で生きる喜びも厳しさも体験するためには、強弱様々な生命の見事な共同体である、豊かな自然の中で生活することが一番よいと考えるからです。

 共働学舎で農業を重んずるのは、自活に必要な手段であることには違いありませんが、それよりも、人工によらぬ天地自然の生命(いのち)に直接触れる業であるからです。

一歩誤れば自然を大きく破壊する危険性を常にもつ農業ではありますが、植物、様々な生物、動物、人間が、それぞれあるべき最もよい姿で生き続けられる生き方を求め、学び、励む農業であるように願っています。農業ほどあらゆる学問を必要とする業はありません。

 農業生産物も動物による生産品も、パン、ケーキ類も、すべて人間の食物となるもので、人間の健康と深い関わりを持つものですから、量よりも質が大切です。

人間の健康は、心のあり方と切っても切れないものです。私たちは能率や労力の削減、経済力を問題にしないわけではありませんが、それ以上に人間そのものを犠牲とするような方法を取ることはできません。
 当然、農薬、化学肥料万能の農業とは異なるやり方を考え出してゆかなければなりません。

昔の農業をそのまま続けるのではなく、酵母を用いた飼料、肥料、土作り、活性炭の幅広い利用など、研究努力をしています。パン、ケーキ、クッキー類、バター、チーズ、ハム、ベーコン、ソーセージの加工品にも添加物を使わず、純粋な材料だけの製品を作っています。
 各学舎で作られる作物や製品は、必要に応じて送り合い、それぞれの場所の特徴を生かしつつ協力し合っています。

 信州、北海道は冬が長く、約5ケ月の農閑期があります。室内で織物、編物、刺繍、とうもろこし人形作り、木工、絵はがき印刷などの生産をします。

 羊毛、繭などの原料から生産すること、藍などの染料も種を播くことから始めること、そして公害を避けて、草木染めを主とした染色をすることなどを大切なことと思い、本格的に出来るようになってきています。

 木工では、子供にとって安全で、遊びを通して自然や素朴な暮らしを思い描き、想像力を養うことが出来るようにと「ゆめ」という名の、共働学舎の風景を思わせるような木の玩具を製作しています。また、作る者たちにとっても、癒しや修練になっています。

 室内作業は、個人の可能性を発見するのに大変よい手段でもあるので、現在行っていることだけが決して全てだとは考えていません。

 建築、土木も共働学舎の大切な仕事です。農業も建築も誰にでも出来る部分が必ずあり、また協力しなければ出来ない仕事であるからです。宿舎ばかりでなく必要な建物は自分たちの手で建てています。「自分のことは自分でする」という自立の基本精神をしっかり身につけるために、自分たちで出来ることは何でも工夫して作り出す努力をします。

 共働学舎の生活は、以上のように自然の中での生産的勤労生活です。教室はそれぞれの作業をする場所であり、教科書は目の前にある自然そのもの、仕事そのものです。競争原理を否定すれば人間は怠け者になるのではないかという疑間に対しては、責任ある勤労活動がこれによく答えてくれると信じます。

共働学舎は、自分達だけの小社会をうまく運営してゆけばよいとは考えていません。

周囲の地域社会から孤立しないだけではなく、若い労力の少なくなった農村にあって、積極的にさまざまの仕事に参加し、協力することによって、一般生活にも経済生活にも、互いに利益を共有する連帯関係を持つものとなりつつあります。

 信州では、毎年11月に収穫感謝祭を行い、村民の方々にも出席して頂き、主として農業の報告をし、すべて手作りの御馳走で地域との親交の機会としています。

   みんなでつくろう

————————————————————————

   みんなでつくろう米も野菜も

   みんなでつくろうお豆も芋も

   自然のめぐみあふれるよ

   みんなでつくろうあたたかいうち

   みんなでつくろうよろこびのうた

   ひとつの家族兄弟だ

   みんなでつくろう本当の世界

   草木も鳥も

   虫もみみずも

   命はおなじ

   ともだちだ           (共働学舎作)

→ next ③《共働学舎は誰がつくるのか》

← もどる